【この資料は2002年に作成したものです。】

今が旬! 私の短大

鹿児島県立短期大学商経学科 2年 豊辻 理沙    

〔解説〕 去る 8月27日に,鹿児島県短期大学情報交換会議・県教育委員会・県高等学校校長協会などの県内9つの機関・短大が,シンポジウム「鹿児島県の短期大学」を開催しました。午前中には各短大生によるプレゼンテーションが行われましたが,以下の文章は,県立短期大学商経学科2年次生の豊辻理沙さんによる県立短大での学生生活についての発言を文字化したものです。豊辻さんの県立短大での学生生活を活写しており,高校生の皆さんにも,ぜひ読んでいただき,県立短大への進学を考えるうえでの参考にしていただきたいので,ここに掲載します。
鹿児島県立短期大学学生部 

 私は今,充実した短大生活を送っています。ここにいることも県短に入ったからだと思っています。しかし私は県短が第一志望ではありませんでした。高校に入って,私は四大を目指して勉強しました。担任の先生と何度も話し合い,鹿児島大学を受けました。しかし,残念ながら落ちてしまい何も考えられないぐらいショックを受けました。そして私は浪人する決心をしました。すぐに担任の先生のところへ行き,予備校の申し込みをしました。一度は大きな決意をした私でしたが,一本の電話で私の運命は大きく変わりました。それは県短からの追加合格の知らせだったのです。はじめは断ろうかと思いましたが,親とも話し合い,県短に入る道を選びました。入学当初は,短大がどのようなものかわからず,また本当にここでよかったのだろうかという不安がありました。しかし,実際たくさんの友人ができ,今ふりかえると楽しい思い出は数え切れないほどあります。そこで今回この場を借りて,私の充実している短大生活について,時間の関係もありますので三つにしぼりお話ししたいと思います。

I 一人一人にあった授業科目と体験を選ぶ!
    ― 講義・演習・実習・社会活動・企業研修・異文化体験の魅力 ―

 まず一つ目は,高校とは違う大学の授業の体験です。大学の授業は高校と異なり,一人ひとり時間割が違います。自分が興味のある授業を選んで,自分の時間割は自分で作ります。授業の種類も様々で,私の入学した商経学科経済専攻では,専門的な経済の勉強だけでは決してありません。パソコンなどの演習科目があり,またふだんの生活では経験することのできない,社会活動や企業研修などのインターンシップ・異文化体験などがあります。ゼミも1年生のころからあり,1年の後期からは自分が興味のあるゼミを選ぶことができます。
 高校までは一つの答えに縛られているかもしれませんが,大学ではそれぞれ意見があり,一人ひとりの意見すべてが一つの答えになります。先生の意見と反対の意見を言うこともありますが,間違いとは限りません。大学の授業は決まった答えを書くのではなく,自分がどれだけの理論的な考えをもち,それを出すことで答えが出てきます。そのなかで意見を交換しあい,自分の他にもたくさんの意見があることを知ることで大変勉強になりました。

II 思い出に残るインドネシアでの異文化体験
     ― 甘味ひとつにこめられた歓迎の気持ちを知る ―

 二つ目は,これまで以上に自分の世界が大きく広がったことです。異文化体験という講義は,県短が交流しているハワイのハワイ大学かインドネシアのパジャジャラン大学に,夏期休暇中2週間ほど行き,現地の大学で授業を受け,文化に直接触れることができるという講義です。私は,昨年の夏インドネシア研修に参加したことにより,すばらしい体験をしました。
 私は,生活環境や貧富の差などを目の当たりにし,自分がいかにめぐまれた環境で生活しているのかを実感することができました。インドネシアは貧富の差が激しく,豪邸に住んでいる人もいれば,住む家もない人もいます。道にすわりこんでいるのは大人だけではありません。小さい子どもたちが,私たちにすさまじいまなざしで恵みをもとめてきました。私たちがそこでいくらか恵んであげても,その子たちの生活が良くなるわけではありません。話には聞いてはいても,実際間近にみたのははじめてで,いたたまれない気持ちでいっぱいになりました。そして,自分が日本でどれだけ無駄なことをしているのか反省させられました。
 また,ホームステイをしたことで,日本にはない文化に直接触れることができました。ホストファミリーからとても甘い紅茶を出され,さらに砂糖を勧められました。最初はとても不思議に思いましたが,インドネシアでは,甘ければ甘いほど相手を歓迎しているということを知り,気持ちを言葉ではなく味で表現するという文化に深い感動を受けました。そして自分が歓迎されているということを知り,とてもうれしく思いました。
 帰国後,インドネシアについてもっと研究したいと思い,友人がインドネシア研究会を作ろうと言い出したのをきっかけに,私も参加しインドネシアについて研究しています。ゼミもインドネシアの研究をしている野村ゼミに所属しており,卒論のテーマもインドネシアにしました。私は友人と一緒にインドネシアの屋台について調べています。今年も今月の15日から友人と二人で2回目の訪問をし,昨日帰ってきたばかりです。ホームステイ先に自分で連絡をし,ツアーではなく自分たちの力で行くことは,不安もありましたが,自ら実行してみてとても勉強になりました。また,現在鹿児島大学に留学しているインドネシアの方々とも交流しており,相互理解を深めています。このような経験は,県短に入り,異文化体験に参加したからこそ経験できたことです。

III 新入生歓迎合宿や体育祭・文化祭をみんなの力で組織する

 最後は,自治会活動についてです。現在私は,自治会役員の一員として,様々な学校行事に取り組んでいます。1年生のころは,学校に慣れることに精一杯で,自治会にはあまり興味はありませんでした。しかし,学校にも慣れ,自分で自分の時間をうまくもてるようになると,大学時代に自分が取り組んだものを堂々と言えるような体験をしたいという気持ちになり,自治会選挙に立候補し,副会長になりました。
 自治会とは,学校行事にとりくみ,学生にとってよりよい学校生活を過ごしてもらうために活動しています。高校でいう生徒会のようなものと思われるかもしれませんが,高校の生徒会とは全く違う点があります。それは学生が主体となってすべての活動を行うことです。自分が動かない限り何も起こりません。調整・準備・手配など,すべて自分たちの手で行い,責任も自分たちにあります。私は中学・高校時代,生徒会活動の経験がありませんでした。そのため,当初は個人の事情を優先してしまい,うまく運営することができませんでした。また県短には一部・二部があり,時間を合わせることも難しく,調整することが大変でした。しかし自然と,自治会という意識が固まり,自治会は何よりも団結力の強い集団となりました。会の運営でも一人一人が自分の意見を率先して言い合え,とても勉強になります。本音で言い合い,ベストをつくすのが,私たち自治会です。
 私たちはこのような活動を行うものとしてはまだまだ未熟で,思うようにいかないことはたくさんあり,悩むこともたくさんあります。しかし,新入生歓迎合宿や体育祭など,行事が成功し,学生が喜んでいる姿を見て,自治会をやって本当に良かったと思います。現在この仲間ともに,「県大祭」に向けて多忙な毎日を送っています。「県大祭」では県短の良さ,学生の良さすべてを見せたいと思っています。

IV あなたも自分の努力で中身のある楽しい短大生活を!

 今,私は県短に入って本当に良かったと思っています。もし私が浪人していたらどんな生活をしていたのだろうと,ふと考えることがありますが,今の道を選んだことは,決して後悔していません。今回このような場で,みなさまに私の意見を聞いて頂いたことに感謝します。私は,短大に入って,いろんな経験をして大きく変わった,成長したと思っています。今回の発表も,またすばらしい経験のひとつになると思います。この経験は,必ず社会に出て役立つものと信じています。自分の動き方ひとつで,2年間を長くも短くも使うことができる,それが短大ではないでしょうか。私は,2年間しかない短大生活,そして残り少ない短大生活を,これからも,もっともっと幅広く有効に使っていきたいと思っています。やるべきことは,たくさんあります。そんな充実した短大生活を,県短に入った人すべてに味わってほしいと思います。これで私の発表を終わります。ありがとうございました。