【この資料は2003年に作成したものです。→ 2002年】
〔解説〕 去る 8月27日に,鹿児島県短期大学情報交換会議・県教育委員会・県高等学校校長協会などの県内9つの機関・短大が,シンポジウム「鹿児島県短期大学の教育」を開催しました。午前中には各短大生によるプレゼンテーションが行われましたが,以下の文章は,県立短期大学文学科2年次生の末元大介さんによる県立短大での学生生活についての発言を文字化したものです。末元さんの県立短大での学生生活を活写しており,高校生の皆さんにも,ぜひ読んでいただき,県立短大への進学を考えるうえでの参考にしていただきたいので,ここに掲載します。
鹿児島県立短期大学学生部
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さて,みなさんは,県立短大に男子学生がいることをご存じでしたか? おそらく女子学生しかいないと思っていらっしゃるのではないでしょうか。
実は,昨年私が入学したときは,私1人だけで,大変驚きました。今年は後輩が3人増え,現在男子学生は4人になりました。
私が,なぜしたのかというと,実は高校時代,テレビの番組制作に係わる職業にあこがれ,その道に進むためには文学系か芸術系に進もうと,東京の大学の放送学科にチャレンジしましたが,見事に落ちてしまいました。県短は,文学科があるということで受験したところ,運良く合格し,入学できました。
ところが,驚いたことに,入学式に参加してみて周囲は全員女性で,男子が私1人ということに気付きました。短大なので女子が多いことは分かっていましたが,入学して初めて,第一部学生433人の中に男子が全くの自分1人ということを知り,体から力がぬけたことを,今でもはっきりと覚えております。
はたして,これから2年間,男1人で大学生活を送れるのか,大きな不安を背負ってのスタートとなりました。
そこで今から,訳もわからず飛びこんだ,県短での私の奮闘ぶりを,3つに分けて,紹介をさせていただきます。
まず初めに,大学生活でのターニングポイントとなった授業との出会いについてお話したいと思います。
短大は,自分で受けようと思う授業を選び時間割を組むことになっています。短大なので1年の内にできるだけ多くの単位を取得しようと,1年次では,高校の時間割と変わらないくらい,ぎっしりと講義を受けました。90分の授業を必ず1日4コマか5コマ履修していたので,かなりハードなスケジュールでした。
私のいる日本語日本文学専攻は,教員や公務員を目指している学生がほとんどです。
私は,教員志望ではなかったのですが,教職の授業を履修していました。なぜかというと,授業の内容と,個性的な先生の魅力に引かれたからです。
その先生は,話の引き出しを無数に持っているようで,とても興味をそそるものでした。
その授業で,4,5人のグループを作り,1つのレポートを作成する課題が与えられました。その中でグループの仲間と,協力して多くの時間をともに過ごし,共同で1つの目標に向かって,話し合い,討論することで,段々と仲良くなることができました。
それまでは,何か女子学生との間に壁を感じて,昼食も一人,話す相手もなく孤立しており,不安や疎外感があったのですが,それらも段々と消えてゆき,大学生活が徐々に楽しくなってきました。
この授業を通し,ボクはここに居ていいんだ。自分が思っているほど,みんなはボクのことを見ていないし,肩の力を抜いて自然体でいこうと,前向きになれたことは,今考えると,大きな進歩だったと思います。
続きまして,アルバイトでの貴重な経験について紹介させていただきます。先に挙げた,授業の先生に,現在鹿児島のテレビ番組の制作会社でディレクターをしている卒業生を紹介していただき,高校時代からあこがれていたテレビ局でのアルバイトを,させてもらえることになりました。内容は,報道カメラマンのアシスタントで,テレビ業界を中から見ることができ,具体的にどのような職業なのか知ることができました。また,マイクで音を拾ったり,照明を当てたりするなかで,失敗して怒られることも多々あり,嫌になって逃げ出したくなることもありましたが,アルバイトであっても,仕事に対し,責任を持ってやることの大切さを学ぶことができました。
私は,このあこがれの職業に就職できなかったとしても,この経験は実社会で必ず役立つものと確信しています。
また,人生は希望を捨てずに,前向きに何かをやろうとすれば,どこかにチャンスはあるのではないかと思っております。
更に,もう1つ私の大学生活での貴重な経験があります。それは,悪戦苦闘している自治会活動です。
何度も失敗を繰り返した経験から学んだこと,それに第二部の働きながら学んでいる学生達との係わりの中から得た刺激や経験が,授業とはまた違う人生に役立つ,生きた勉強になりました。
4月にあった新入生歓迎会では,実行委員長を任され,会の準備から運営まで中心になり進めました。ところが,準備の段階から,1人であまりにも色々と抱え込み過ぎ,誰にも相談しないまま当日を迎えてしまいました。
案の定,自治会委員全員で1年生を誘導したり,目配りしたり,協力して運営するべきだったのですが,1人でバタバタ動き回り,うまく行きませんでした。
前もって,自治会役員を集め,係分担の確認や,会の流れの説明などを,1人で判断せず,周りに相談しておけばと,後悔することばかりでした。
今考えると,この失敗は私にとって,多くのことを教えてくれました。そして,この失敗の経験は,これからの自治会活動や,実社会で必ず役立つものだと思っております。
今は,今年の自治会の総務を任されて,秋の県大祭に向け活動しています。
私は,昨年自治会の役員ではなかったのですが,自ら県大祭をビデオカメラでとる係を買ってでて,自治会活動にも参加し,二部生との繋がりができました。
二部生は,県庁マンや銀行員,九電職員など,いろんな職場で働いている人達が多く,一部生とは違った経験や価値観を持っており,話をしていると,勉強になることがたくさんあります。また,女性だけの中にいる関係で,男性との会話が新鮮に感じます。
他の大学と違い,県短では,一部生・二部生が協力して自治会活動をやる必要があり,その中で,私はとても大きな役割を担っていると感じています。
一部生の中にいることで,一部生の授業や就職活動,アルバイトで手一杯で,自治会活動になかなか参加できない状況や考えがわかるし,また,昨年から二部生と係わっていたので,ほかの一部生より,二部自治会の考え方もわかります。つまり,その役割とは,一部生と二部生の中間的立場で,両者の考えや価値観のズレをつなげる「架け橋」となることです。この両者の調整役を経験することで,自分が少しずつではありますが,成長していくことを感じています。
県短に入学したとき,大きな不安を背負ってスタートした私でしたが,今,私は県短で多くの友人や先生に助けられながら大学生活を満喫しております。
県短のこともよく分からずに入学した私でしたが,今では入学して良かった,間違いではなかったと実感しており,残された学生生活を精一杯がんばっていきたいと思っています。
私の,県短での奮闘ぶりをお聞きいただき,有り難うございました。また,このような舞台で貴重な発表の機会を与えていただき,関係者の皆様にお礼を申し上げまして,私の発表を終わります。